「セルインメイ」とは?5月に株価が暴落する理由、実際のチャートは?

セルインメイ

5月は「Sell in May(セルインメイ)」と呼ばれ、毎年「株価が暴落する」と考える個人投資家が多い月です。

しかしセルインメイとは元々、「5月に暴落が起きやすい」という意味の用語ではありません。

とは言え、セルインメイを警戒する個人投資家が多いのは事実です。

そこでここ数年、5月に実際に暴落があったのか確認しました。

Sell In May(セルインメイ)とは

「Sell In May(セルインメイ)」とは、株式市場における相場格言として知られています。

由来は「5月に株を売って、9月まで戻るな(Sell in May and go away, don’t come back until St.Leger day)」というイギリスの相場格言とされています。

しかしこれは「(6月~9月は株式相場が軟調になるため)5月のうちに株を売って9月に戻って来い」ということを意味しています。

つまり「セルインメイ」はもともと、「5月に暴落が起きやすい」という意味の用語ではありません。

Sell In May(セルインメイ)で暴落が起きる理由

Sell In Mayの本来の意味だと、「5月に株を売って9月に買い戻すべき」ということになります。

これは「6月~9月頃にかけて株価が下がりやすい」と考えられていた事が原因のようです。

その根拠は、海外の機関投資家の動きによる所が大きいと考えられています。

特に夏場は海外の機関投資家が長期休暇に入るため、「夏枯れ相場」として閑散期になります。

そのため、夏場には機関投資家による大きな買いが入らないと言われています。

Sell In May(セルインメイ)の実際の影響

セルインメイで実際に暴落が起きたのか、実際のチャートを確認しました。

2013年~2019年の米国株(S&P500)、日本株(TOPIX)の「3月~9月末」のチャートです。

2019年チャート

2019年は、5月に株価の大幅安が発生しました。

これは当時、米国・中国間の貿易摩擦問題等が原因と言われていました。

2019年は例年と状況が異なり、年初から株価の大幅高が続き株価が調整しやすい状況にありました。

しかしSNS上では、「やはりセルインメイだから暴落した」と言う投資家が多い印象でした。

米国株(S&P500)

日本株(TOPIX)

2018年チャート

2018年は5月~9月にかけて、特に米国株の好調が続きました。

※ただしこの後、年末に暴落が発生しています。

米国株(S&P500)

sell in may

日本株(TOPIX)

2017年チャート

2017年も5月~9月にかけて、株価の好調が続きました。

米国株(S&P500)

日本株(TOPIX)

2016年チャート

2016年は6月に株価の暴落が発生しました。

ただしこれは英国のEU離脱による問題で、その後すぐに株価は戻しています。

米国株(S&P500)

日本株(TOPIX)

2015年チャート

2015年は5月以降、特に株価は大きく動きませんでした。

ただし8月には世界同時株安が発生し、米国株・日本株共に暴落しました。

米国株(S&P500)

日本株(TOPIX)

2014年チャート

2014年は5月以降、株価の大幅な上昇が続きました。

米国株(S&P500)

日本株(TOPIX)

 2013年チャート

2013年5月には「5.23」と呼ばれる暴落で、日本株、特に新興株市場の株価が下落しました。

ただしこれは日本株がアベノミクス後の株価高騰で、バブル状態にあった背景があります。

米国株(S&P500)

日本株(TOPIX)

Sell In May(セルインメイ)の米国株・日本株の影響は?

上記のチャートの他に、ダウ・ナスダック指数、日経・マザーズ指数等についても検証しました。

しかし一般的に「セルインメイ」と考えられている、「5月に暴落が起きやすい」という傾向は見られないように感じます。

米国株のセルインメイの影響

米国株についてはセルインメイの影響は見当たらず、特に5月に暴落するような傾向は見られません。

逆に指数ベースでは長期ホールドが正解だったと思われます。

日本株のセルインメイの影響

日本株はボラティリティが激しいため判断しづらいですが、例年5月に暴落するような傾向は無いと思われます。

但し2013年5月には「5.23」と呼ばれる暴落(特に新興市場では大暴落)が発生しました

日本の個人投資家に「5月はセルインメイで暴落する」というイメージができたのは、この暴落が要因の一つと思われます。

まとめ

セルインメイとは「5月は暴落が起きやすい」という意味ではなく、「5月に株を売って9月に買い戻せ」という相場格言のことです。

しかし一般的に「5月は株が暴落しやすい」「5月までに株を売らないといけない」と考えている投資家が多く存在します。

実際に2013年・2019年の5月には株価の暴落が発生しました。

しかしいずれも株価が高騰した後の事で、季節要因とは異なる理由と考えられます。

またその他の年は、逆に株価が好調な場合も多いことがありました。

そのため一概に「5月だから」という理由で判断せず、その年の株価の状況に応じて判断する必要がありそうです。

以上、セルインメイについての検証結果でした。

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